2021年度「みんなでつくるみんなの森プロジェクト」

第1回ワークショップ「下草刈り体験」報告

 

実施日:2021年8月7日(土) 9:30~12:00

実施場所:創造の森保育園(栃木県那須塩原市高林)

講師:益子一志さん

参加者数:9名

 

「みんなでつくるみんなの森プリジェクト(みんみんP)」は今月上旬に3年目のワークショップを始めました。今期第1回目のワークショップは下草刈りです。今年の整備予定の面積は約0.2ha。今期の終わりには、これまでの整備面積と合わせると約0.8haの後輩林が綺麗な雑木林に蘇ります。

さて、当日は草いきれが鼻をつく蒸し暑いなかでスタートしました。園舎前に集合しひと通り挨拶を終えると、刈り払い機に慣れた方は、機械を担いで颯爽と林の中へ。どんどん作業を進めたい……。でも地面を覆うのは繊維の硬い篠竹ばかり。刈り払い機といえども篠竹相手では、一向にはかどりません。

一方、刈り払い機に慣れていない方や園児のみなさんは鎌を使って手作業での下草刈りです。使う鎌は刈り払い鎌とよび、比較的的柄が長くしゃがみ込まずに作業ができるので、下草刈りの際によく使われるそうです。そんな鎌の一行は、藪の奥で姿が見えない刈り払い機隊のエンジン音を聞きながら、林の入り口付近の下草を丁寧にコツコツと刈り進めます。一歩一歩進むからこそ見えてくることもありました。「刈る草と残す草の違いってなんだろう。全部刈ってよいのだろうか」と参加者。草木に対する探求が始まりました。

そんな作業を進めているうちに、突然、強雨が林を濡らします。参加者も濡らします。一同慌てて園舎の中で雨宿りです。作業で火照った体に雨がもたらす風が心地よい。「暑かったのでクールダウンできますね」。いつまでもボーッと雨を眺めていたいところですが、残念ながらそうもいきません。予定のところまで刈り終わりません。30分ほど休んで、小康状態となったところで、再び林に向かいます。

地道に刈り進めていくと、私たちの前に一本のコナラの巨木が現れました。コナラは薪炭に利用される樹木です。薪炭林だったというこの林でいつ頃に芽吹いた木でしょう。人知れず、私たちの時間を超えてじっと立っていたことを思うと感慨深い思いでいっぱいになります。

先ほどの雨で体も濡れて、疲労もたまり限界です。予定時刻よりほんの少し前ですが作業を切り上げました。今回の作業面積は0.1ha。残りの0.1haは9月開催予定のワークショップで刈る予定です。講師としてお力添えいただきました益子一志さん、参加いただいたみなさま、大変お世話になりました。

 

冒頭と重複しますが、創造の森保育園と一緒に進めています「みんみんP」は、今回のワークショップで3年目に突入しました。これまでお力添えをいただきました講師のみなさん、参加者のみなさんのおかげです。今期はツリーハウスづくりにも挑戦する予定です。3年目もよろしくお願い申し上げます。

本事業は「ファミリーマート夢の掛け橋募金」の寄付による緑の募金事業の助成を受けて開催しました。

2020年度「みんなでつくるみんなの森プロジェクト」

第6回ワークショップ「理想のツリーハウスづくり」開催報告

 

講師:小市匠さん(登山ガイド)

開催日時:2021年5月22日(土) 9:30〜12:00

場所:創造の森保育園

参加者数:22人

 

5月22日土曜日に、「みんなでつくるみんなの森プロジェクト(みんみんプロジェクト)」2020年度の最後のワークショップを創造の森保育園にて開催しました。

今回の企画のきっかけは、創造の森保育園でのワークショップに参加いただいた方からの言葉です。「ツリーハウスがあったら子供は嬉しいだろうな」。2019年10月に園庭林の活用方法をみんなで話しているときのことでした。

しかし、私たちにはツリーハウスの知識がありません。設置するためには、まず知る必要がありました。そこで登山ガイドの小市匠さんにツリーハウスの世界を案内いただくことしたのです。小市さんは世界各地を旅され、その先々でさまざまなツリーハウスを見学された経験をお持ちで、ご自宅にツリーハウスをご自身で作られたました。

 

ワークショップは、小市さんによる世界のツリーハウスのお話で始まりました。プロジェクターを使って壁一面に映し出された珍しい建築物に、大人も子供も目が釘付けです。続いて設置予定場所の確認です。小雨に包まれるなか、一昨年からみんなで下草刈りや間伐をして手入れをした園庭林に出ました。小雨に濡れた葉はつややかで、緑が鮮やかに輝いています。私たちのイメージも潤いを得たのでしょうか、設置予定地以外の場所での建設案が出るなど、さまざまなアイディアが活発に飛び交いました。「もっと高いところに作ったほうが楽しい」、「園舎の隣に設置するのだから、互いの良さが生きるような、相乗効果が得られるようなツリーハウスを」と。

溢れるイメージを抱えて、次はツリーハウスの下絵の作成です。再び園舎にもどり、大人も子供も一人一枚の絵を描き、描き上がったスケッチを見ながら、みんなで意見を交わしました。子供たちは、ツリーハウスの仕組みを十分に把握している様子で、木の構造を上手に利用したスケッチもありました。大人も負けてはいません。一般的な四角形の小屋に想像をとどめることなく、八角形のものや曲線を生かした小屋を描かれるなど

、枠にとらわれない建築物が登場しました。

 

森林の価値を学びながら、子供たちの健康な育成を目的に始めた「みんみんプロジェクト」は、今年の7月から3期目に入ります。今回、みなさんに作成いただいたスケッチは、基本コンセプトとしてまとめ、これから手がけるツリーハウスづくりに生かしていきたいと思います。

そこで忘れてならないのは、園庭林における下草刈りや間伐、落ち葉拾いなどの活動です。こうした地道な活動があったからこそ、ツリーハウスづくりというシンボル的な活動が実現できました。来年も、下草刈りや間伐などのワークショップを計画しています。みなさまのご参加をお待ちしています。

本事業は「ファミリーマート夢の掛け橋募金」の寄付による緑の募金事業の助成を受けて開催しました。

2020年度「みんなでつくるみどりの板室街道プロジェクト」

第2回市民学習会 「地域再生先進地 熱海に学ぶまちづくり」

 

講師:

市來広一郎氏(NPO atamista代表理事ほか)/松原明氏(NPO シーズ・市民活動を支える制度をつくる会元代表理事)

開催日時:2021年1月20日(水) 15:00~16:30

開催場所:オンライン(Zoom)

参加者数:33(アクセス数)

 

2021年1月20日(水)、市民学習会「地域再生先進地 熱海に学ぶまちづくり」が無事に終了しましたのでお知らせいたします。

私たちは現在、板室街道沿道の放置林整備を目指し事前調査を実施しています。森林を生かした豊かな暮らしを目指す私たちにとって、空き店舗などの身近な資源を使って新たな活気をもたらした熱海には学ぶことが多く、講師としてお二人の方をお招きし、この度の学習会を企画しました。

ご登壇いただいたのは熱海再生の立役者の市來広一郎さん(NPO atamista代表理事ほか)と、市民活動を支える制度づくりに取り組まれている松原明さん(NPO シーズ・市民活動を支える制度をつくる会元代表理事)です。

最初に登壇いただいた市來さんからは、これまでの取り組みを紹介いただきました。まち歩きツアーや、人が集うためのカフェ運営、マルシェ開催、まちの現状調査、空き店舗の利用、若手起業家の移住支援……と、その活動はさまざま。そこからは、仲間の集め方や、ヴィジョンづくりの進め方、資金集めの考え方、調査の方法など、まちづくりの具体的なポイントが見出せました。

それら多岐にわたる活動の根底には、市來さんたちが思い描く未来の熱海のまちの姿がありました。そして、常に意識されていたのは、そのヴィジョンに対して、まちが抱える課題を見極め、その課題に対して自分たちの活動がどんな解決をもたらすか、ということでした。これらの活動を振り返られ、まちづくりのあり方をこう締めくくられました。「自分たちの暮らしたいまちを自由に思い描き、大きなヴィジョンをもって、小さなことから始める」。

市來さんの講演を受けて、松原さんからコメントをいただきました。まちづくりのような取り組みの場合、一つの取り組みが当初の計画通りに進まないことはよくあること。市來さんたちの取り組みで興味深いのは、小さなしかけをたくさん手がけ、うまく進めばそれを拡大させ、そうでない場合はすぐに中止し、別のプログラムを始める。そんなたゆまぬ取り組みが現在のまちに導いたと、感想を述べられました。

また、私たちが取り組んでいる調査活動へも、アドバイスいただきました。市來さんたちの活動において、調査とは一つのツールに過ぎず、そのツールを使って、さまざまなプレイヤーを自分たちの活動に巻き込んでいったのです。

そのうえで、私たちの取り組んでいる放置林整備を実現するには、現在の調査において、土地所有者を判明させるだけでなく、放置林を活用したいプレーヤーにまで対象を広げ、それぞれの立場の方の希望を掬い上げるなどして、仲間を増やしていく必要があるだろうと、的確な指摘をいただきました。

今回の登壇いただきましたお二人から学び、今後も活動を続けてまいりたいと思います。

 

※本市民学習会は公益財団法人トヨタ財団の助成を受けて行ないました。